トップページ
 
常設展示室
特別展示室
・指定文化財
企画展示室
速報展示室
情報検索室
講座研修室
公開施設情報室
埋蔵文化財調査室
 
リンク
新企画 横穴墓の被葬者の身体測定!?目次へ戻る
 
第1部 歯から見た被葬者(ひそうしゃ)
(1)古墳時代の歯周病(ししゅうびょう)を発見
出山横穴墓群8号墓に埋葬されていた30代前半の男性。上顎(じょうがく:上のあご)右の犬歯(けんし:糸切り歯と呼ばれる)の根の付近に穴があいていました。かなり悪化した歯周病が原因です。断層撮影の結果、穴は上顎胴(じょうがくどう)という鼻の横にある骨の空洞部分の手前まで及んでいました。また、これとは別に上顎左の第1大臼歯(だいきゅうし)にも穴があり、こちらは虫歯が原因ですが、穴は上顎胴に達していました。上顎胴に病気の原因となるバイ菌が入り込んだりすれば、命に関わるほどの大問題となります。いずれにしてもこの男性は、生前、歯の病気でかなり悩んでいたのではないでしょうか。
 
出山横穴墓群8号墓の男性


 歯周病や虫歯の原因は、歯や歯ぐきとのすき間に残った食べ物のカスで、そこから細菌による感染が起こるのです。一般的に柔らかい食べ物は隙間に残りやすく、歯磨きをしなければ発病の可能性が高まります。
 ところで、当時の横穴墓にはある程度の地位にあった人とその家族が埋葬されたと考えられます。8号墓の男性も一般庶民ではなく、横穴墓に埋葬される地位にあったのですから、当時としては豊かな食生活を送っていたことが想像できます。柔らかい食べ物を口にする機会も多かったのでしょうか。彼はついに、歯周病患者となってしまいました。


→(2)歯で分かる年齢