速報展示室
墳丘盛土
@:柔らかい暗褐色土
A:暗褐色土
B:黒色土とローム層主体土による版築的工法
C:ローム層主体土
※盛土:黒褐色土
周溝充填土
(1):黒色土
(2):黒褐色土/暗褐色土
(3):二次堆積土
(4):ローム層主体土(締め固め)
(5):ローム粒・ロームブロックを多く含む褐色土く含む褐色土
周溝の中から発見されたのは、須恵器(フラスコ形の壷)の破片と、土師器(甕)の破片などです。残念ながら、元の形を復元するには破片の数が足りませんが、他の遺跡で発見されたものと比較して、これらが焼かれた時代は7世紀と考えられ、石室の形態などから推測された古墳が造られた時代と一致しています。
天文台構内古墳が載っている文献など
1『東京の古墳を考える』坂詰秀一監修 品川歴史館編(2006年発行 雄山閣)
2『季刊 考古学』第96号「複室胴張り構造の石室」池上悟(2006年8月発行 雄山閣)
3『てくてく・みたか』市内歴史散歩(第3版2007年発行 三鷹市教育委員会)
4『グラフみたか』vol.19「特集 みたかタイムトラベル」(2007年発行 三鷹市)
周溝を発見!盛土の積み方も見えた!
昭和45(1970)年の調査では、墳丘を断ち割るようにトレンチが設定されました。今回、このトレンチを再び掘って、どのように土を積んで墳丘を造ったかを確認しました。
真っ黒い土(古墳を造った当時の地表)の上にローム(赤土)や黒土などを層状に斜めに積み上げています。赤土と黒土が交互になっている部分もあります。これは、中国から伝わった「版築(はんちく)」と呼ばれる工法に似ています。版築は、枠の中で性質の異なる土やロームを一層ごとに杵などでつき固めて層を重ね、強固な土台や土壁を造るもので、日本では寺院建築の基壇などに採用され、古墳にも似た工法が見られます。
ここでも墳丘を強固にするために、似たような工法で土を積み上げたと考えられます。
調査はトレンチ方式(細長く掘って遺構を調べる)で行われ、墳丘を中心に東西南北の位置で各々調査を進めました。その結果、東、北、西のトレンチで、明確な周溝が確認されました。
各々の周溝は、幅が広がったり、深くなったり
と形が一定していません。
今回の最大の発見は、東、北、西の周溝に囲まれた範囲が、おおむね四角形であるということです。つまり、この四角い範囲の中に、墳丘が造られていることが明らかになりました。
昨年度に引き続き、三鷹市教育委員会からの依頼により平成18年度の「天文台構内古墳」の発掘調査が行われました。今回の調査で3つの重要なことが確認されました。1つ目は、墳丘の周辺で周溝
古墳の周りに掘られた溝)を発見したこと、2つ目は墳丘の土の積み方を確認できたこと、そして3つ目は周溝から須恵器、土師器が発見されたことです。
〜天文台構内古墳の発掘調査(速報第2弾)〜