ここで展示したのは、すべて三鷹市内で出土した「ほんもの」の縄文土器です。 この展示で、(貴重な文化財の破損のリスクを取っても)「ほんもの」の縄文土器に「触れる」ことにこだわったのは、次の理由によります。
三鷹市域の、井の頭の森や、野川の国分寺崖線、また、かつて千の釜といわれた仙川の湧水など、私たちになじみの深い三鷹の自然景観は、五千年前にも今とほとんど変わらず同じ場所にあり、この地に住んでいた縄文人たちにとっても同じように、あるいはもっと切実に、なじみ深いものであったはずです。縄文人たちは、この三鷹の景観と自然環境を上手に利用して食料資源を調達し、長期間(およそ800年近く)にわたり(争いもせず)集落を維持することに成功していました。彼らが食料資源の加工に用いた、最も主要な道具といえるのが縄文土器です。
縄文土器は、自分たちのムラで作った自家製の道具です。ムラの土や粘土を使い、親から習った方法で、粘土をこねて作った道具であり「作品」です。特に中期の縄文土器にみられる文様や造形は、彼らが持っていた自然観や世界観を表すものと考えられています。つまり彼らは、土器づくりを通じて、集団の内外の人たちにメッセージを送っていたわけです。そのメッセージの受け手には、私たちも含まれている。現代の考古学ではそのように考えています。
縄文時代と私たちのライフスタイルには、大きな違いがありそうです。でも今と同じ川や丘を見ながら、同じ場所に暮らしていた、三鷹の縄文人たちのお手製の土器を、直接触って「三鷹の縄文」を感じてほしい。そんな思いでこの企画は実現しました。
*実物の土器の展示期間:平成30年10月9日(火)〜16日(火)三鷹市役所1階ホール
手触り、ざらざら(しっとり)、やわらかさ(硬さ)、あたたかさ(冷たさ)など、三鷹の縄文人たちの手触りを追体験してください。
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