滝坂式土器T類a・b
復元された滝坂式土器
滝坂式土器U類c・d
滝坂式土器U類a・b
滝坂式土器の実測図
速報展示室トップへ戻る
中央部掘り込み 掘削後
中央部掘り込み 掘削前
中央部掘り込み 断面
住居跡(SI-1)の実測図
滝坂式土器(底部)の出土状態
発見された住居跡(SI-1)
「当該文化財の特徴及び指定理由」

 滝坂(たきさか)遺跡の住居跡(SI−1)及び周辺の遺物包含層中から発見された、縄文早期前半の特定時期の土器群を一括指定する。当該土器群は、5個体の半完形品と当該時期のメルクマールとなる特異な「沈線」文様を有する口縁部位の破片土器が50点である。
 大きさは、破片土器を含め、器高16〜25cm、口径12〜23cmの範囲におおよそ納まる。器形は、上下に間延びした形状をもち、底部は尖底でその形状は多様である。しかし、他の土器群と比較すれば、形態的には単純であり、文様や器面調整の特徴を加味しても斉一性の強い土器群である。
 これらは、早期前半期、撚糸文(よりいともん)系終末期の一型式の範疇(はんちゅう) に限定できるもので、『考古学ジャーナル』(1983) と『武蔵野考古』(1983) において、当該時期の一型式「滝坂式土器」の呼称により、新たに南関東における縄文土器編年のひとつに加えるよう、提唱されている。

 関東地方における縄文早期前半期は、5時期(様式)に区分されており、そのうち1から4期までは比較的安定した土器型式の内容で構成され、中部・東北南部な どにも広く分布する。これに対し、当指定の土器群に比定される第5期は、南関東、茨城県に分布が知られている。後続の無文土器群や沈線文土器群に変遷(へんせん)する直前の時期にあり、南関東域内においても型式の細分化が見られる。そのため、少量でも特異な土器群には、これまで幾つかの土器型式が提唱されている。
 当資料は、従前の当該時期の資料に比較して、半完形土器5点を含め資料数も多い。しかも大半が住居跡内一括資料でであるため、土器型式の内容もより限定されるなど極めて貴重な資料である。
                          
                     三鷹市教育委員会 文書』より

補注1:
 「滝坂式土器」は縄文土器研究において、ある特定の領域に分布する、特徴的な文様や形態を有する土器群についての総体的な学術的呼称である。これらの土器群 は「土器型式」という概念でも使われ、土器の年代や分布、他の土器群とは画一された特徴(タイプ)を指し示す、考古学上の専門用語のひとつである。
 一般には、最初に発見された遺跡名やそれに発見地点などを付けて呼ばれる。「滝坂式土器」は、三鷹市滝坂遺跡で良好資料が最初にまとまって発見されたことによる呼び名である。

補注2:
 「滝坂式土器」としてのメルクマールは口縁部位の文様である。特異な一条の「沈線」は口縁部を巡るもので、描写は、技法や施文や見かけ上の効果によって稜・段・沈線・凹線の4つの態が見られる。また、口唇や口縁の内外面及び胴〜底部への器面調整(ナデ・ヘラ状工具による面取り整形)を有す特徴である。ただ、破片では後者の要素だけでは特定することはできない。そのため、同地区から出土している胴部と底部位破片 391点については、当該時期に先行する他の撚糸文系土器にも見受けられることから型式別に区分することは困難である。また、共出した石器類についても当該一時期に限定できないことからいずれも指定対象から除外している。
発見場所 三鷹市中原一丁目6番地先 三鷹市道第76号線の東(360平方メートル)
発見年月日 昭和57(1982)年8月27日
土地所有者 三鷹市
発掘主体者 三鷹市遺跡調査会
発見の経緯  三鷹市中原一・二丁目一帯広がる滝坂遺跡は、昭和57(1982)年7〜8月周知の遺跡外に広がる推定地域内において、市道第76号線の東地区の道路整備に伴う事前の試掘調査及びその後の本発掘調査において、新規に発見されたもので、滝坂遺跡の名称はこの時に命名された。
出土状況  この調査で最も注目された成果は、これまでまとまって出土することがなかった縄文早期前半、撚糸文終末期の特異なデザインをもつ土器が、1軒の竪穴住居跡からまとまってて出土した点にある。
 出土土器は、5個体の半完形と当該土器群の特異性を具備する口縁部土器片のほか、多数の胴部〜底部の撚糸文期の土器群や並行期と考えられる大浦山T式土器も出土している。
 既存道路における調査の性格上トレンチ状の調査区からほかに、早期前半期では、炉穴や集石などの遺構やスタンプ形石器、礫器、特殊磨石、敲石などの石器類が発見されている。
 なお、この調査時点では未確認であった竪穴住跡の南端の一角は、平成6(1994)年に個人住宅建設に伴う発掘調査が実施され、遺構の輪郭が検証され、充填土からやはり同時期の遺物が発見されている。
掲載文献 ●吉田格・高麗正 1983「三鷹市滝坂遺跡の調査概報」『考古学ジャーナル』216所収 ニューサイエンス社
●吉田格・高麗正 1983「三鷹市滝坂遺跡の調査速報」『武蔵野考古』29所収 武蔵野文化協会考古学部会
●三鷹市遺跡調査会 1988 『滝坂遺跡』三鷹市埋蔵文化財調査報告第13集 三鷹市教育委員会
種別 市重宝第20号(三鷹市文化財保護条例第5条第1号)考1号
(有形文化財・考古資料)
員数 55点(半完形土器5点及び口縁部破片50点)
保管先 三鷹市新川三丁目7番9号 三鷹市生涯学習課分室
所有者 住所 三鷹市野崎一丁目1番1号
氏名 三鷹市
管理者 住所 三鷹市下連雀九丁目11番7号 教育センター
氏名 三鷹市教育委員会
指定日 平成16年4月7日
3 三鷹市文化財専門委員会答申全文
2 周辺状況

−はじめに−
 このほど三鷹市において指定した文化財(考古資料)について、指定理由のほか、特に学術的な点を下記に解説します。 
 なお、平成17年3月まで三鷹市遺跡調査会事務所(三鷹市新川三丁目7番9号)の特設コーナーにおいて全点公開しています。是非この機会にご覧ください。


名称 滝坂遺跡出土の縄文時代早期前半・撚糸文系終末期土器群

1 指定内容

トップページ
三鷹市生涯学習課分室
情報検索室
速報展示室
企画展示室
特別展示室
・指定文化財
公開施設情報室
講座研修室
リンク
常設展示室