横穴墓で発見された遺物




 埋葬の際、遺体に添えて葬る品物を副葬品といいます。横穴墓では焼き物、アクセサリー類、武器類などの副葬品が玄室内や墓前域で発見されることがあります。これまでに三鷹市の横穴墓で発見された副葬品は、主に須恵器(すえき)、土師器(はじき)と呼ばれる焼き物です。これらの遺物は、墓の構築年代や被葬者の身分などを推定する上で、極めて重要な資料といえます。

1 須恵器(出山横穴墓群8号墓出土)

 須恵器(すえき)と呼ばれる焼き物です。須恵器づくりはロクロ成形や登り窯での焼成を用いた技法で、5世紀に中国大陸から伝わりました。
 写真の器は平瓶(へいへい・ひらべ)と呼ばれるものです。背にボタン状の装飾が付けられているのが特徴で、7世紀前半に作られました。
 平瓶は主に貯蔵容器として使われたと考えられていますが、横穴墓の墓前域で発見されたことから、埋葬の儀式で使用したと思われます。
2 須恵器(野水橋横穴墓群3号墓出土)
 これは形がフラスコに似ていることから、フラスコ形長頸壺(ちょうけいこ)と呼ばれています。製作は、ロクロで成形した胴部に粘土円盤で蓋をした後、横に倒して穴をあけて頸部を接合するという手順で行われます。写真は粘土円盤が外れた状態です。また、器の肩には部分的に自然釉(焼成時に自然に発生する釉薬)が見られます。7世紀後半に東海地方で作られたもので、当時の流通によって、この武蔵国に運ばれました。埋葬の儀式では、酒などが入れられたのでしょうか。

3 土師器(野水橋横穴墓群4号墓出土)

 土師器(はじき)は、古墳時代から奈良・平安時代に作られた素焼きの土器です。色は褐色などが多く、成形にはロクロを使用する場合としない場合があります。
 写真の土師器は盤状坏(ばんじょうつき)と呼ばれるものです。盤状坏は、8世紀に現れたロクロ成形による平底の坏で、須恵器の形を模倣したと考えられています。
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