[本書の要約・見所]
神田川源流域左岸の縄文時代〜弥生時代の水場遺構を調査しました。
低湿地の砂混じり泥炭層中からは、約8万点の土器・石器類と共に、加工木や自然木、種子類、焼骨(獣骨)などが多量に出土しました。
調査では、神田川の支流のひとつと考えられる河道が検出されました。河道の上流側と下流側には、大径木が河道を直交するように配置されており、北側の台地上から降りて来る斜面の一部はローム層が階段状に構築されていました(階段状遺構)。南側の微高地上には、破砕した土器片と焼骨が多量に散布された状態で検出され(土器敷き遺構)、河道の延長部分には木組遺構が状態が悪いながら確認されました。低地に設けられたこのような空間全体を本報告書では水場遺構としています。
材と種子類計34点は
14C年代測定を行いました。他の分析項目は、花粉分析、プラント・オパール分析、テフラ分析、樹種同定、大型植物遺体分析、土器内の炭化種実同定及び種実圧痕同定、焼骨分析、土器の残留有機物分析、土器胎土分析(予察)です。出土した土器全点を型式分類、石器類は全点器種及び石材分類し、出土位置の検討を行い、有機物の年代測定結果と共に、遺跡の時期変遷を推定し、その結果をもとに、遺跡の河道や植生などの古環境変遷を整理しました。
広域で把握されている気候変動と、ひとつの遺跡における古環境変動を対比させ、遺跡に残された土地利用の痕跡を整理し、時期別の立体的な行動復元を試みています。なお調査区全体の計測は、3Dスキャンにより行いました(下図)。
[閲覧情報]
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