遺跡の調査には、事前に行う立会調査や試掘・確認調査のほか、記録保存を目的とした本発掘調査があります。ここでは、最も難しく、専門的な知識や経験が要求される業務である本格的な発掘現場の調査の例を写真版で紹介します。
 遺跡の発掘調査では、地下に埋まっている遺跡を掘り出すため、表層の土を掘削するため、まずは土木工事と同じような仕事から始まります。土器や石器などが発見されると、今度はどんな小さなものも見逃さない慎重な手作業がまっています。土の色やかたさの違いなどを見極める熟練した目と体で覚えた独特な土の掘り方が要求される作業がつづきます。また、先人が遺跡に残した行動を推測するための基礎データを収集し、緻密な図面や写真による記録作業を行います。
はじめは試掘調査から開始
調査区の位置を測量するための杭打ち作業。
1点ごとに出土遺物を計測する
光波測量機器で出土位置や標高値の3次元データを収集。コンピュータで解析します。
竪穴住居まるごと1軒掘りあげる
当時の床の上で写真撮影のための最後の作業を進める調査員ら。家の真ん中には土器を据えた炉や柱穴が何本もみえています。
何万年もの間降り積もった火山灰の堆積層
当時の自然環境を知るために試料採取します。
縄文人の生活面を追跡する
手前が竪穴住居跡。別棟や野外施設などを検出するため、土層を慎重に削るジョレンかけ作業が果てしなく続きます。
遺構の凹に堆積した土層を記録する
写真は大地を掘り窪めた半地下式の炉穴。火の聖域に何度も作りかえられていく順序などを克明に調べます
旧石器時代の生活の痕跡を求めて
赤土(ローム)層を薄皮を剥ぐように少しづつ掘り下げ、小指大の石器を探します。
阪神・淡路大震災の教訓を生かして
貴重な完形(完全)土器は、形が命。落下防止には特に気を配っています。
出土品のコンテナによる収蔵
写真・図面化を終えた出土品は、整理・分類され厳重に保管されます。
印刷用の版下づくり
報告書づくりの中心的な作業。学術的な写真版や線画図面を作成します。又パソコンによる画像処理も行います。
コンピュータによるデータ管理
発掘時の出土地点データや各種台帳記録などの管理や図面作成をします。
出土品の学術的利用のための撮影
特徴的な文様や部分など強調するためライティング効果を駆使します。
土器の文様を拓本で写し取る
写真では表現しにくい細かな文様や器面調整のナデなどは拓影が一番です。
ジェット噴射式の注記マシン
出土品は1点毎、遺跡名や出土地点名などを記載。細かなものは筆書きです。
泥まみれの出土品を丁寧に洗う
ハケやブラシで何千年前かの土を洗浄し、自然乾燥させます。
 外作業である現場の発掘調査が終了すると、出土品と全ての記録資料は事務所に持ち帰り、室内での整理作業が行われます。下の線画は3棟ある事務所の機能別部屋配置を模式的に記しています。
 整理作業は、出土品、図面、写真それにコンピュータデータなどに区分し、種別毎に進められます。出土品は水洗いをへて、1つづつbェ付されます。図面や写真記録も同様に整理・修正のうえコンピュータデータに統合され、後の検索に備えます。次の工程では、ジグゾーパズルに似た土器片の接合や、図化表示のための実測作業や拓本とり、線画トレース、写真撮影、版下づくりなどが行われます。最後は、総合的な統計、分析、記録説明の原稿執筆へと進められていきます。

業務PART2 整理調査と報告書作成

三鷹市・第7回文化財展『黄泉の国への路−その造形・横穴墓』展
三鷹市教育委員会の主催事業に協力して開催。写真は遺跡の調査から「古代人の死生観」を考えるテーマの企画展のようすです。
『三鷹の遺跡展V- 石器つくり』
毎年7月、三鷹商工まつりに参画。毎回色々な切り口で遺跡を紹介し、併設の体験学習教室は、特に子供たちに大好評。写真は古代人のハイテク・石器つくりに挑戦しています。
遺跡見学会に集まった人たち
大沢・羽根沢台横穴墓群(7世紀築造)の発掘調査中、三鷹市教育委員会の協力で、現場説明会を開催しました。
遺跡の調査記録は歴史の代弁者
土木工事などの事由でやむをえず遺跡を損壊・破壊してしまう場合には十分な発掘調査の実施とその記録を残すことが不可欠となります。
調査会ではこれまで20数冊の報告書を編集・発行してきました。遺跡の代弁者となれるよう願っています。
 発掘調査という一通りの業務が完了すると、遺跡の姿(情報)を歴史の代弁者として、報告書を広く公開するため印刷物として刊行します。最近ではCD版も併用されるようになってきました。
 これらは、地域の学校や図書館、市役所や大学などの研究機関等々に配付され、図書館などでは閲覧できるようになっています。
また、このホームページでも、発掘調査の成果や出土品の解説、三鷹の遺跡に関わる様々なデータを順次公開していきます。合わせて、現場調査時の見学会や講演会、展示会等のイベントもその都度、ご案内いたします。
なお、本ホームページ上で、現在公開されている施設等もご覧ください。

業務PART3 展示・活用と公開

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業務PART1 遺跡の発掘調査

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